ウサギを飼うときに気をつけてほしいこと

ウサギは草食動物で、自然界では食べられる立場にあるためとても繊細で体力の少ない動物です。
犬や猫では問題にならないようなことでも、命に関わることがあります。
通院や診療の際に特に注意が必要な4つのポイントをまとめました。

①胃腸障害(毛や異物の誤食)に注意

ウサギは自分の毛や布・紙などを食べてしまい、胃腸の動きが止まって急変することがあります。
食べたものが詰まると食欲が低下し、まったく食べなくなることもあります。完全に詰まると動かなくなり、急性胃拡張を起こして1日で命に関わることもあります。
誤って食べそうな布や紙などは届かないようにし、換毛期にはこまめにブラッシングを行ってください。
「じっとして動かない」「全く食べない」などの様子が見られたら、早めの受診をおすすめします。

②暴れての骨折・けがに注意

ウサギの骨は細く軽いため、とても折れやすい構造をしています。
一方で脚力が強く、暴れたり跳ねたりすると自分の力で骨折してしまうことがあります。
特に抱っこが苦手な子や、高齢の子では注意が必要です。

来院や帰宅の際のキャリー内、投薬時、驚いた拍子などに骨折することもあります。
院内では、タオルで包む・床で診察を行うなど最大限の配慮をしていますが、ウサギの予測できない動きで事故が起こることもあります。
扱いには十分注意しておりますが、そのリスクについてご理解をお願いいたします。

③歯のトラブルに注意

ウサギの歯(前歯・奥歯)は一生伸び続けます。
伸び方によっては舌や頬の内側を傷つけ、痛みから食欲が落ちてしまうことがあります。
「食べたそうにしているのに食べない」「よだれが多い」「口をモゴモゴ動かす」などの様子があれば注意が必要です。

治療は伸びた歯を削ったり切ったりします。前歯は無麻酔で処置できる場合もありますが、奥歯は全身麻酔が必要になることがあります。
処置の方法は健康状態や性格、歯の伸び方によって獣医師が判断します。
予防には牧草をよく噛むことが効果的ですが、先天的な要因で発症する場合もあります。

④メスのウサギは子宮の病気に注意

メスのウサギは、中年齢以降に子宮の病気を発症する確率が非常に高いことが知られています。
5歳を超えると約50%、10歳以上では約90%のウサギが子宮疾患を持つという報告もあります。

初期症状はほとんどなく、健診時のレントゲンなどで偶然見つかることもあります。
進行すると血尿が見られることが多く、すでに転移して手遅れになってしまうケースもあります。
血尿や食欲低下が見られた場合は、早めの受診をお願いします。

この病気は避妊手術で予防が可能です。
手術の時期に明確な制限はありませんので、気になる方は獣医師にご相談ください。

まとめ

🐇 ウサギは体が小さくデリケートですが、日々の様子をよく観察することで多くの変化に気づくことができる動物です。
早めの受診と正しいケアで、健康な暮らしを守ってあげましょう。